色補正のための試作の進め方の試案

1 これまでの経緯とわかったこと

(1)英国政府の国家遺産事業の一環として撮影されたカバーレット1718の撮影データを元にレプリカの作成を開始。つまり、専門家が撮影したデータで、解像度も比較的高い。

(2)布地の試作の前に上記データを使って、紙印刷した画像で明暗確認を行った結果、色補正は必要ないと思われた。また、明暗としては、―24%が近いと言うことで、これをもとに布地の試作品を作成した。

2  試作品確認試験(4月20日)でわかったこと等

(1)紙を使った事前比較では、色調整の必要性はないものと確認したが、布地の場合は、色味が大きく異なっていた。特に①明暗をー24%中央値にしたためと思われるが、全体が青みがかっている。②赤味が濁って見え、カバーレットの特徴と思われるピンクの発色が汚い。

(2)Coverlet1718との明暗比較試験は、上記の結果から中断し、色調整のための試作をさらに行う必要があると思料した。

(3) 色味の特徴については、3名の試験官から次の意見が出た。

・全体に青みがかっている。そのためか、ピンクの発色が汚なく感じられる。

・黄色味については、ノーマルな漢字である。

(4) 以降の試作では、右下の白鳥部分の2✖️2を比較部位として3名の試験官で選定した。

(5) 中村の判断で試作の最も明るい比較サンプル(―16%)と実物の同じ部分の比較写真を撮影した。

3  色補正のための試作の進め方(たたき台)

(1) 2次試作における色修正の中央値の設定

  比較サンプル(―16%)と実物の同じ部分の比較写真データを元に色修正の中央値の設定する。同じ部分を撮影したものであり、RGBの相対的な差異がころ腐れていると考えられる。従って、比較サンプルの色補正を行い、色補正していない実物の同じ部分と比較して、補正することで、RGBの相対的な差異を数値として取り出すことができる。元データ(―16%)に、このRGBの相対的な差異を加えることで、一応の補正が行えるので、これを中央値として2次試験品を作成する。

(2) 2次試作における色修正の方法とサンプル数

・色補正法として、PhotoShopのRGBトーンカーブの中央部スライダーを使用する。理由:これ以外に係数的に変化できるものがないため。

・2次試作の事前試験として、中央部スライダー1目盛分の影響の確認試験を行い、試作の変化量を1目盛か半目盛かを検討する。また、試験を終了させるための色味の変化量にも資料を得る。具体的には、RGBのそれぞれを1、半、4分の1目盛を変化させた紙印刷サンプルにより変化量を見て、官能試験として限界と思われる変化量を見出す。

・上記試験で十分大きな色味の変化を及ぼすと考えられる目盛分を2次試作における色補正として設定する。それに基づき2次試作品ではRGBの3つのパラメータを○目盛分を上下する27個のサンプルを作成し、最も近い色味を見つけて、それを3次試作の中央値とする。

4 3次以降の試作について

・3次以降の試作では、前試作で見出した中央値について前試作の半目盛分を上下する27個のサンプルを作成する。

・2次試作の事前試験で得られた限界と思われる変化量を元に試験の打ち切り条件を設定し、それを満たすまで試験を実行する。

5  色補正の専門家に聞きたい疑問点等

(1) 考え方で間違っている点の指摘

(2)  中央部スライダーの上下以外の定量的な色補正法

(3)  中央部スライダーの上下だけで良いのか?

(4)  試験の打ち切り条件

色補正について助言できる方は、次のアドレスにメールして下さい。

col.kenzou.nakamura@gmail.com

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