キルト・ギャラリー 2:蓮華シリーズ第1期のご紹介 

キルト

<< 蓮華シリーズ について>>

水の上に浮かぶ花をモチーフにしたもので、当時、環境・エコを意識してもらえるようにと期待したシリーズであったが、現在、気候変動の影響が顕著に現れており、さらに強調すべき主題となってきた。作品としては出来るだけ単純な形:正多角形等を用いて幾何学的な面白さを追求したもので、単純な形・限られた色数と無地の布を用いた分、キルティングが明確に表現できるものとなっている。

 作成は当時、日本最大のパソコン通信:ニフティーサーブのキルト・フォーラムの方々にお願いした。従って、以下の作成者名はフォーラム内でのハンドル名である。なお、キルティングは作成者それぞれが決めて行ったものであるが、構成や配色に良くマッチしたものにして頂いたものと思って感謝している。おそらくキルトトップを作成する過程で長い時間向き合い、幾何学的な意味合いについても深い理解に到達いただけたのではないかと考えている。

 また、蓮華シリーズには時期によりI期とII期に分かれる。同じ色味でも生地の色が若干異なるのはバブルが弾けて布の種類が半減し、同じ色番号の布が無くなったためでした。

ハニカムと六葉のクローバー

名  称蓮華シリーズI ハニカムと六葉のクローバー
作成時期2001作成者きりん さん

<<解説>> 正六角形と正三角形を組み合わせた五角形のある配列を使ったデザイン。

下図のように正六角形7個を組み合わせて花を表していますが、その形を6等分した形が五角形になります。外形は同じなので、うまく配列でき、それを利用した配列です。そのことが分かれば、この配列の面白さがわかっていただけると思います。また、出来た五角形も立て爪のダイヤモンドを思わせる形で、葉っぱに見立てると4つ葉ならぬ6つ葉のクローバーになり、楽しめます。

補足図:正六角形7個と同じ外形を持つ五角形6個

十字花と四葉のクローバー

名  称蓮華シリーズI 十字花と四葉のクローバー
作成時期2001作成者みー さん

<<解説>>

正方形と直角二等辺三角形を組み合わせた五角形のある配列を使ったデザイン

下図のように正方形5個を組み合わせて花を表していますが、その形を4等分した形が五角形になります。外形は同じなので、うまく配列でき、それを利用した配列です。

補足図:正方形5個と同じ外形を持つ五角形4個

 

風に揺れるギザギザ矢車の花

名  称蓮華シリーズI 風に揺れるギザギザ矢車の花
作成時期2001作成者名gucky さん

<<解説>>

大きさの異なる3種類の正三角形を使ったデザイン。

3種類の大きさの違う正三角形を使って配列させる場合は、小さい2種類の辺の長さを足したものが大きな正三角形の辺の長さになるようにすれば、うまく配列を作ることができます。このデザインの場合には、1+2=3の比率になっています。あなたの美しいと思う比率でデザインしてみると面白いでしょう。

配色について葉の部分は萌黄と深緑の2色で古い葉のおかげで新しい葉が大きく成長した様子を表した。花の部分は赤橙黄色の3色を使い、規則性と多様性を同時に表した。

ギザギザ草の彩り

名  称蓮華シリーズI ギザギザ草の彩り
作成時期2001作成者すずゆう さん

<<解説>>

大きさの異なる2種類の正三角形を使ったデザイン。

正六角形を使わずに大きさの異なる2種類の正三角形を使ったため、角角が目立ちギザギザ草という名の水草とした。花は小さな正三角形を中心に大小3つずつの正三角形で取り囲み、それなりにまとまった形となった。

なお、辺の長さの比率は1:2。数の比率は小さい方が逆転して2倍。面積で比較すると大きい方が4倍大きいので、再度逆転して大きい方の面積が2倍となる。

真夏の六花

名  称蓮華シリーズI 真夏の六花
作成時期2001作成者りどみぃ さん

<<解説>>

正三角形と正六角形を使ったデザイン

花は五弁のものが約4割を占めています。何故、五弁花が多いのかは、いろいろな説がありますが、その1つに形状が立体であるからというものです。実際、正三角形、正方形、正五角形はそれだけで正多面体を構成することができるが、正六角形だけでは構成できず、サッカーボールの様に正五角形の助けを借りなければならません。

逆に2次元平面において正六角形は圧倒的でそれ自体で平面を構成できるだけでなく、いろいろな多角形と組み合わせて使うことができます。このデザインは正三角形と正六角形の組み合わせの中で最もシンプルで力強いものと思っており、それを生かして力強いデザインとしました。

姫菱の実り

名  称蓮華シリーズI 姫菱の実り
作成時期2001作成者きみよ さん

<<解説>>

 正三角形と正方形の準正配列を使ったデザイン

正三角形と正方形は周期的な配列を作ることが出来ます。正三角形と正方形の比率は2:1で、正三角形2つで作る菱形と正方形が入れ替わりながら配列されていくものになっています。

個人的にシンプルで最も美しい配列であると思っています。

ところで、姫菱は四弁花であるだけでなく、実も四角形をしており、夏の終わりに実ります。なお、菱の名の由来は、葉と実が菱形だからという両説あり、特定されていません。

菱花の咲く頃

名  称蓮華シリーズI 菱花の咲く頃
作成時期2001作成者――

<<解説>>

正12角形の内部分割を使ったデザイン

正12角形3つは、下図左図の様に配置することができ、隙間は正三角形となります。また、正12角形は、右図の様に正三角形と正方形に内部分割することができます。先の正12角形の配置に内部分割し、出来た正三角形と正方形の配列を使ってデザインした作品にしました。

補足図:正12角形の配列と内部分割                菱の花の写真

 ところで、下の写真が菱の花、珍しい四弁花です。8月初めの暑い時期に菱の花は咲き、1cmほどの清楚で慎ましい花を見つけると暑さが少しだけ癒されるような気がします。

なお、作成者はPCのデータが読めなくなったため分かりません。作成者の方はお声掛けください。

 

十二角のメランコリー

名  称蓮華シリーズI 十二角のメランコリー
作成時期2001作成者元  さん

<<解説>>

正12角形の2重の階層構造を使ったデザイン

正12角形は下図左図の様に正方形と正三角形に分割できることが知られているが、実は中央図の様に2重の階層構造や右図の様に3重の階層構造、それ以上にもできる。

補足図:正12角形の階層構造

 なお、補足図では、紫の部分にそれぞれ左の部分を入れることができる様に描いている。

また、このデザインでは、あまり複雑過ぎず、それ以降を想像させる2重の階層構造を使ってデザインした。

桜草の花束

名  称蓮華シリーズI 桜草の花束
作成時期2001作成者有亜  さん

<<解説>>

正五角形の2重配列を使ったデザイン

補足図:正五角形の多重配列

6つの正五角形を配列すると上図左図の様な隙間のある赤枠の正五角形を作ることができる。この正五角形を同じ配列で並べると中央図の配列になり、これも隙間のある赤枠の正五角形となる。さらにこの隙間のある正五角形を同じ配列で並べると右図の配列になる。

さらに繰り返せるのであるが、あまり複雑過ぎず、それ以降を想像させる2重配列を使ってデザインした。

正五角形のキルティングは、五芒星(和名:銀星)に成っており、さらに細かな配列を想起させてくれるものとなっている。

水面の煌めき(みなものきらめき)

名  称蓮華シリーズI 水面の煌めき(みなものきらめき)
作成時期2001作成者ちゃっぷ さん

<<解説>>

同じ大きさの正六角形だけを使って、大きな正六角形を形づくることは、残念ながらできません。出来ないながら、内外の正六角形と六角星を強烈に印象付けるデザインにしてみました。また、内側の菱形に目をやると三菱マークが入れ替わりながら現れる面白い配置になっています。

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