おばあちゃんとオンライン・キルト  第1話 第4/4回 完結

キルト

第1話:宇宙船地球号の非日常

第4回 キルトの完成

<<紛糾!もっと縫い物がしたい!>>

 ヨコちゃんは、下の絵のハート周辺に取り掛かりました。縫っていると、もっといろいろなことがしたくなり、出来るところを探しました。そうしているうちに下の絵のハート周辺は出来上がったので、また、おばあちゃんに見てもらうことにしました。

「おばあちゃん。下の絵のハートの周りの縫い物ができました。」「ヨコちゃん、よく出来てるわね!昨日お母さんから縫ったところの写真を送ってもらって、確認したわ。後はお星様のところをやったら、おばあちゃんに送ってね。あとは完成させるからね。」「おばあちゃん、お星様のところなんだけど、お星様の周りを丸くキルト ラインを入れたら良いと思うんだけど、どうかな?」「ヨコちゃんは、どうしてそうした方が良いと思うの?」「おばあちゃん、星は夜の闇から飛び出してくるように見えるから引っ張ってしまうとおかしいと思ったの。そして、もう1つは、この絵を見ていて描いたときのことを思い出したの。これはパパのiPadでキッドピクスというソフトを使って描いたんだけど、星は1つ描いて、それをコピーして置いて行ったの。同じ形だから同じ円で囲めば、同じように見えて良いなと思ったの。でも、星も、お月様も小さすぎたなと今は思うの!」「そうなんだね。ヨコちゃんが描いた絵だもんね!思い出があるんだね。でもね、小さな円、曲線のキルトラインを入れるのは、まだ、無理だと思うの!」やっぱり、無理か!と、ヨコちゃんが思った時、おじいちゃんが助け舟を出してくれた。「おばあちゃん、円じゃなくって五角形にしたら、駄目なのかね?この星を見れば、五角の銀星だから、それに因んで五角形にしたら、直線の組み合わせになるじゃないかね。」「おじいちゃん、ありがとう!」「あらあら。小さな五角形を綺麗に縫えるかは分からないけど、円を縫うよりはずっとやりやすいわね。」

「おばあちゃんも、ありがとう。その他にも、真ん中の4つのマークにキルトラインを入れたいの。渦巻は中央に、菱形には縁にキルトラインを入れるの。そして、星形には残っている竹ビーズを刺繍したらどうかしら?そして、上の絵の炎の黄色と赤の縁と、燃えている材木の黒線の上にも波縫いのキルトラインを入れるのは、出来ると思うの。おばあちゃん、どう?」「ヨコちゃん、たくさん考えてくれてたんだね。ありがとう。でもね、炎のところは、私も考えていたスペシャル・テクニックがあるの、そこだけは、私にやらせてね!」

「おばあちゃん、ちょっと落ちついて考えてご覧。貴女もキルトのことになると本気になってしまうんだね!」おじいちゃんが、割り込んだ。「上の絵はヨコちゃんが描いた絵なんだから、ヨコちゃんに任せた方がいいんじゃないかい?炎のところだけおばあちゃんのスペシャル・テクニックが入ると全体の調和が取れないんじゃないのかね?こちらに届いたものにさりげなくフォローのキルトラインを入れるくらいがいいんじゃないのかね!」「ありがとう!私も本気になっていたみたいね!全体のことを考えるとおじちゃんの言う通りね!ヨコちゃんの縫い目もたくさん残せるしね。でも、ヨコちゃん、無理しちゃダメよ。学校もあるんだから!」「おばあちゃん、ありがとう!学校の宿題はちゃんとやります。大丈夫です。」お母さんは呆れながら見ていたが、何も言わなかった。

<<ヨコちゃんの出来るところ完了!>>

 その後、ヨコちゃんは、提案した所を裁縫したので、おばあちゃんに見てもらうことにしました。

挿絵1:ヨコちゃんの出来るところを完了したキルト全体と部分

「おばあちゃん、できるところは縫いました。最初に2枚の布を張り合わせたところは硬すぎてキルトラインを入れられないと思ったので、1枚だけのところに入れました。星型のところのビーズはたくさんあって、とてもやりがいがありました。ビーズの刺繍が大好きになっちゃた!」「ヨコちゃん、昨日お母さんから縫ったところの写真を送ってもらったわ。よく出来ているわね!炎のところは、火の粉が散っているようで、私が考えていたスペシャル・テクニックよりも自然で、いいと思うの。」「おばあちゃん、ありがとう。凄く楽しかったです。これで私が出来そうなところは、もうないので、後はよろしくお願いします。」「後はおばあちゃんに任せてね。腕によりをかけて、良いキルトにするからね。出来たら、送ってあげるから見てね。」お母さんにお願いして、おばあちゃんにキルトを送ってもらいました。これが、どんなキルトに仕上がるのか、楽しみでした。

<<完成したキルト>>

 1ヶ月後、おばあちゃんからキルトが届いたので、早速、開けて見ました。キルトラインが入れられ、さらにビーズの刺繍が入れられており、凄く豪華なキルトになっていた。また、裏地は全く違うものになっていました。次の日、お母さんにお願いして、おばあちゃんとテレビでお話をしました。

「ヨコちゃん、キルトは見てくれたでしょ!どうだった?」

「おばあちゃん、ありがとう。一番すごいと思ったところは、下の絵の黄色部分に入っているキルトライン。おじいちゃんとおばあちゃんのお顔が立体的に見えて、キルトラインの効果はすごいと思ったの。」「ヨコちゃん、良く見てくれているわね!お顔の廻りのキルトラインだけでは、立体感が出ないから周辺の黄色部分にも平行な横のラインを等間隔で入れたのよ。その他に、面白いと思ったところはある!」

挿絵2:完成したキルトの下の絵

母が急に口を挟んだ。「ヨコちゃん、気がついていないようだから教えてあげるけど、上の絵の人も魚も苺もみんなキルトラインが入っているのよ。触ってみるとよく分かるわよ。見た目が自然すぎて分からないということが、おばあちゃんがどんなに丁寧に縫い物をしたか、どれほど凄いことかよくわかってね!」「お母さん、ほんとだね、触るとラインが入っているのが分かる。苺1つ1つにも入っているんだね。全然、気がつかなかった!」ヨコちゃんは、おばあちゃんの技術を垣間見た気がしていました。

挿絵3:完成したキルト上の絵

「ヨコちゃん、気にしなくていいのよ。その他に、面白いと思ったところはある!」

「あとはビーズがすごいと思ったわ、おばあちゃん!縁取りのところにいろいろな色のビーズが使われていて綺麗ね。そして、上の絵のキャンプファイヤーと星の間を左右の縁を繋ぐように刺繍とビーズで橋が掛かっているの。おばあちゃん、あれは天の川ですか?」「ヨコちゃん、本当に良く見てくれているわね!あれは天の川ではなくて、キャンプファイヤーと星の間の闇を分けるような感じで入れてみたんだけど、今考えてみると2cmぐらい上にして天の川にした方が良かったかもしれないわね。」ヨコちゃんは、本質的なところを指摘したかもしれないと気がつき、「おばあちゃん、あの刺繍はすごく難しいんでしょ!」「そうね。あれは応用の縫い方だから、長崎に来た時に少しずつ教えてあげるからね。」

「おばあちゃん、縁の部分の黄色のラインが目立つし、すごいね。」「黄色のラインにしたのは星と星を結ぶ光の線をイメージしてみたのよ!」「え!おばあちゃん、光は一直線で進むんだよ。」

「ヨコちゃんと、また宇宙のお話ができるなんて楽しいね。」おじいちゃんが口を挟んだ。「広い宇宙では光も重力で曲がるんだよ。それだけではなくて、ブラックホールでは、渦巻ながら吸い込まれてしまうこともあるんだよ。」「えーそうなんだ!」ヨコちゃんは、光が水のように渦巻ながら吸い込まれていくのを想像して不思議な気がした。

「おじいちゃん、ありがとう。ヨコちゃんも納得したみたいだね。その他、気がついたところはある?」「あと、驚いたのは、裏地が全く変わっていたことかな!」

「ヨコちゃんが縫っていた時についていたのは、裏地ではなく、捨て布って言って、キルトラインを入れる時にはあれで、裏地は終わってから付けると縫い目が表に出ないから綺麗でしょ。でも、ヨコちゃんが頑張ってやった玉留めは見えた方が記念になったかもね。」

挿絵4:完成したキルト全体と裏地

「おばあちゃん、私、いつになったら自分でキルトが作れるかな?」「そんなに急がないで、おばあちゃんのところへ来られるようになったら、教えてあげるから、少しずつ習っていったら良いわね。」楽しい会話が続いた。そして、是非とも自分だけでキルトを作りたいとヨコちゃんは思うのでした。

 なお、この物語はあくまでもフィクションです。

絵を入れたキルトを作成してみませんか。

<<第1話完結>>

以上で第1話は完結です。是非とも自分でキルトを作りたいと思うヨコちゃんですが、どうするのでしょうか?まだ、構想だけですが、第2話「虹色のキルト」に、ご期待ください。

第1話のキルト作成は次から読むことができます。

第1話を初めから読みたい方は、次を参照ください

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